以前はよく見てた、フジの「ザ・ノンフィクション」のテーマ曲の最初の歌い出し、
曲名も誰が歌っているのかも知らず、でも番組のエンディングに流れる「♪生きてる、生きている」の歌声はどこか物悲しく、切ないようなメロディーで一度聞いたら忘れられないフレーズでした。
最初のワンフレーズしか知らない、その曲を歌ってる人が逮捕されたと知り気になって調べてみたんですよ。
その曲名「サンサーラ」の意味と歌詞
その曲は「サンサーラ」で、サンスクリット語で「輪廻転生」を意味する言葉だそうで、
この曲を作詞したのは、当時番組のアシスタントディレクターだった味谷和哉氏が、1992年インドロケでお腹を壊し、1週間で5~7キロ痩せ、車でガンジス川源流まで行くも、ご飯も食べられない夜も目が冴えて寝れない状態で朝方、吊り橋に行ったら、ガンジス川がものすごい勢いで流れていて
そのとき、「♪生きてる 生きている~その現(うつつ)だけがここにある」というメロディーと歌詞が、頭の中で同時に流れたんだそうです。
ガンジス川と聞いて、私の頭に浮かんだのは、
インドは(私たち日本人には)想像も出来ないほどの激しい貧富の差がある国であり、
人々は宗教によって決められた身分のまま一生を送らねばならない、そんな理不尽な環境でも生きていかねばならない大変な国だということ。
輪廻転生を信じて沐浴する人たくさんの人たち、その同じ川辺では亡くなった人が火葬され遺灰も流される、生と死が混濁している大河、ガンジス川
まさに「その現(うつつ)だけがここにある」っていう情景が見えるようでした。
それでも生きていかなければならない
作詞した味谷和哉氏によると、原曲では最初は「生きてる 生きている」ですが、その後は
「♪死んでゆく 死んでゆく~その真実(まこと)だけがここにある」と続くらしいです。
でもちゃんとした曲にするとき「『死んでゆく』はマズいですよ」となって、「生きてる 生きている」だけが残ったらしいです。
ということは味谷氏の目にはガンジス川の流れだけでなく、やはりそこで沐浴する人々の姿や火葬の風景も、、、、遺灰だけでなく流されていく遺骸も映ったのかもしれません、だから「生きてる」の次に「死んでゆく」と続き、サンサーラ(輪廻転生)という曲名になったんでしょうか。
お腹を壊し、きっとフラフラで朦朧とした状態で目にしたその風景は、より生と死を強烈に実感させたのかもしれません。
「サンサーラ」で検索して、初めてその動画を見ました。
この曲を歌うために神様からもらったような歌声なのに、愚かにもこれまで築きあげてきたものを全て失うことをしてしまった。
一瞬にして失い、一変してしまった、でもそれが現実。
「その現(うつつ)だけがそこにある」この歌詞を体現してしまったかのようで皮肉なものです。
きっと今は後悔の真っただ中でしょうね。でも時間は巻き戻せない。
この先どんなにか苦しいだろうし、辛いし、ずっと背負っていかなければならない、自身だけでなくその周囲の人も。
それでもこの人はこれからも生きていかねばならないのですよ。
平々凡々に生きてきた私でも後悔してることはたくさんあります。人は誰でも大なり小なり何かを抱えながら生きていると思うんですよ。
辛いことや大変なことがあっても、それでも生きる、生きていかなきゃいけないんだなって思いました。
ここ数日間、私の頭の中では「♪生きてる 生きている~その現(うつつ)だけがここにある」のフレーズが何度もぐるぐる回っています。